時間の止まった世界での攻防『刻刻』
今連載しているゴールデンゴールドが面白くて、続きが気になって仕方がないので、同じ作者の完結済みの作品も読んでみました。
佑河家に代々伝わる、止界術という時間を止めることのできる術。
おじいさんはこの術を家族に内緒にしてきたが、孫が誘拐されたことで、この秘術を使用する。
しかしこれは、止界術を我が物にしようと企む、実愛会という宗教団体の陰謀であった。
祐川家と、実愛会、さらに家族が行方不明になった原因を止界術だと考え、実愛会と行動を共にする間島という女。
いろいろな人物の思惑が、時間の止まった世界でぶつかり合う、といった感じのストーリーです。
止界術は時間を止める術というより、時間の止まった世界へ行く、というイメージですかね。
そしてこの止界の設定がすごく凝っています。全8巻というのが勿体ないくらいですが、逆にそれくらいにまとめたからこそ、無駄がなく、内容が濃くなっています。
あと、それほどグロくはないんですが、人が死ぬシーンもけっこうあって、それをあっさり描くところに、独特の薄気味悪さがあります。ちょっと寄生獣っぽいというか。
1番好きな場面は、実愛会のトップ・佐河と、部下の潮見の決裂シーンです。
止界術を発動させるための石が佐河の目の前で壊れてしまったところに潮見が現れます。佐河は、石が壊れた以上、潮見は自分を裏切る、今ここで殺したほうがいいか?と考えます。(この時点で佐河は止界術により人外の力を得ている)
一方で潮見も、壊れている石を見た瞬間、佐河に付き従うメリットはないと直感します。気付かなかったふりをして、しばらく行動するか?いや、向こうも自分が壊れた石に気付いたことに気付いている。ここで殺しに来る!と咄嗟のところで攻撃を躱すという一瞬の攻防。
時間の止まった世界で、一瞬の攻防というところが、自分で言っといてアレですが、面白いですね。
いかにもヴィレッジヴァンガードに置いてありそうな漫画だなと思いました!