陽の当たる道を目指す

過去の体験談とか趣味の話をつらつら書いてきます。本の話がやや多めかも。暇つぶしくらいにはなれるように頑張ります



読書-小説

三国志の脇役が主役に!『三国志外伝』

「わかった、協力しよう」 この一言が、かれの生涯をかぎりなくけわしいものとした 以前、宮城谷三国志を紹介しましたが、 この本は、その三国志本編では語られなかった、 言ってみればマイナーな人物を取り上げています。 www.jedentagzatudan.com 取り上げ…

この時期に、カミュの『ペスト』を読み返して思うこと

つまりこの瞬間から、恐怖と、それとともに反省とが始まったのである。 カミュの小説、『ペスト』は文字通り、 ペストが蔓延した都市での人々の戦いを描いた作品です。 この作品は、一般的には不条理に直面した人間の心理と、 神という存在についてがテーマ…

『宮城谷三国志』のススメ。その特徴と、読みどころ

小説の三国志といえば、やはり、吉川英治の『三国志』が有名です。 三国志演義をもとに、日本人が読みやすいよう、独自のアレンジを加えた物語は、 日本人が三国志の世界にハマるきっかけとなりました。 その後、横山光輝の漫画『三国志』も、この吉川三国志…

読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました『イノセント・デイズ』

私は見届けなければいけないのだ。 彼女が死ぬために生きようとする姿を、 この目に焼きつけなければならなかった。 ↑こんな文章、この話以外で見ることはないだろうな‥ 3日寝込むは大袈裟でしょうが、かなりの衝撃はありました。 物語は放火殺人により死刑…

8人の食い違う「告白」にあなたも絶対にだまされる『敗者の告白』

被害者と加害者。 真実は、当の本人たちがいちばんよく知っているにもかかわらず、 彼らはなにも知らない裁判官に結論を委ねるのです。 どちらかが嘘を吐いている―。 敗者の告白 (角川文庫) 作者:深木 章子 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/08/25 メ…

斬新すぎる設定のミステリー小説『スタート!』

閉ざされた世界の中では非常識が常識になる。 『連続殺人鬼カエル男』というミステリー小説があります。 文字通りカエル男と呼ばれる殺人鬼の正体は何者なのか?という話なわけですが、その予想外の結末はかなりの衝撃です。 連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文…

3大カッコいいタイトルのSF小説!!『たったひとつの冴えたやり方』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『月は無慈悲な夜の女王』を読んでみた

この、3大カッコいいタイトルのSF小説というのは、 化物語というアニメの登場人物が言っていたものです。 曰く 『たったひとつの冴えたやり方』 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 『月は無慈悲な夜の女王』 だそうです。 3大奇書とは違って、別に公…

20年前、世を震撼させた圧倒的衝撃作!!『恋愛中毒』

―どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。 他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。 表紙買いです。 結構前、同じ作者の『プラナリア』という小説は読んだことあったのですが、自分的にあまりハマらなかったので、 表紙…

古さを全く感じない名作!「リラ荘殺人事件」

今読むと、若干表現など古いというか、読みづらい部分もありましたが、 読んでよかった、読む価値あったなと思える小説でした。 リラ荘殺人事件 (角川文庫) 作者: 鮎川哲也 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2015/06/20 メディア: 文庫 この商品…

2度読み必至!『死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録』

人が死ぬ直前の幻影を見ることが出来る「僕」と、 そんな「僕」と行動をともにし、死ぬ間際の人間を救おうとする女子大生、「鈴さん」の話です。 そりゃ気になって買っちゃうよ‥ 死ぬ人間の幻影が見えるといっても、周りの状況や、詳しい時間まではわからな…

究極の、意外な犯人!!『最後のトリック』

またしても本の帯に惹かれて購入してしまいました! 最後のトリック (河出文庫) 作者: 深水黎一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/10/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (13件) を見る この物語は、とあるミステリー作家の元に、一通の手…

絶対、ぜったいだまされて、読み返します!『悪いものが、来ませんように』

本の帯に、 衝撃のラスト25ページ 絶対、ぜったいだまされて、読み返します! と書いてあって、そこまで言われたら、まあ読んでみたくなるというもので、 購入してしまいました。 ネタバレは避けるので、詳しいことは書けませんが、ある「事件」について、紗…

あの名曲「雪の華」が映画化!そのノベライズ小説を読んでみた

中島美嘉さんの名曲「雪の華」の世界観を映画化。 自分はこの雪の華という曲が本当に大好きで、映画化という話を聞いて、見に行こうかどうか迷っていたんですが、公開前にノベライズが出ると聞いて、じゃあそっちを読んでみようと早速購入しました。 雪の華 …

で、結局「車輪」とは何なのか?ヘルマン・ヘッセ『車輪の下で』

大学生の時の話。 専攻ではないですが、選択でドイツ文学の授業を取っていました。そのときの先生は、一時期ヘッセにかなり入れ込んでいたそうで、ヘッセの車輪の下という作品も熱心に解説していました。 ある日の授業で、「車輪とは何だと思いますか?」と…

徐々に明かされる衝撃の真実にウツになる!『わたしを離さないで』

今更ですが読みました! ノーベル文学賞も受賞したカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』 主人公はキャシー・Hという女性。この人の独白というようなかたちで物語は始まります。 冒頭で介護人をしていると自己紹介をしますが、老人ホームなんかで働くよ…

喜劇?悲劇?そして記憶とは!?『木漏れ日に泳ぐ魚』

確かに続きが気になって仕方がない! 電車で読んだら乗り過ご過ごさないこともないかもしれない 木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫) 作者: 恩田陸 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/11/10 メディア: 文庫 クリック: 6回 この商品を含むブログ (26件) を見る…

鬱小説ナンバー1!!『ボトルネック』

漫画だと鬱漫画って1つのジャンルになりつつありますけど、小説でこの威力はあまり読んだことないや。 ボトルネック (新潮文庫) 作者: 米澤穂信 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/09/29 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 126回 この商品を含むブログ…

今からでも遅くない!『獄門島』は読むべき!!

ミステリーの金字塔にして、傑作。 数年前の読者が選ぶミステリーみたいなランキングでも堂々の1位でした。 獄門島 (角川文庫) 作者: 横溝正史 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング) 発売日: 1971/03/30 メディア: 文庫 購入: 4人 クリッ…

一番ラスト1ページの衝撃がすごいのって『噂』ですよね?

「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。 香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂…

日本3大奇書と呼ばれる小説を全部読み切ったので、せっかくなので感想

ドグラ・マグラ 夢野久作 ドグラ・マグラ 上下巻セット (角川文庫) 発売日: 1976/10/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 読んだ者は精神に異常をきたす、といわれる小説。 3つの中で1番奇書っぽいです。 内容としては、主人公が精神病院で目を…

深い森の中を探索!ドイツ文学の特徴と、ぜひ読んでおくべきオススメ作品8選

大学のときドイツ文学の講義を取っていました。 その講義の先生が、ドイツ文学の特徴として話していた例えがなるほどという感じで面白かったので紹介します。 「フランス文学を、舗装された綺麗な道を歩く行為と例えるなら、ドイツ文学は、鬱蒼とした森の中…

RPGでフラグが立たず次に進めないときのようなモドかしさ、と不気味さ カフカの『城』

分類としてはドイツ文学になる、カフカの長編小説です。 物語の主人公であるKが、とある雪の降る村を訪れます。彼はこの村に測量士として呼ばれたのですが、村人に聞くと、それなら城に行ってくれ、と言われます。でも、城に入るためには手続きがいる、しか…

ロシア文学史上最大?の問題作『イワン・デニーソヴィチの一日』

ロシアの作家・ソルジェニーツィンのデビュー作。 無実の罪で捕えられたイワン・デニーソヴィチ・シューホフの、ラーゲルといわれる強制収用所での1日を書いた作品です。 以前、同じくシベリアの流刑地を舞台とした、ドストエフスキーの「死の家の記録」と…

いまさらながらに「火花」を読んで思った、才能の残酷さ

ピース又吉さんの火花を読みました。芸人さんなのに読ませる文章を書きますね。一気に読んでしまいました。 お笑い芸人という職業について書かれた小説はそんなないと思うんですが、わかるようなわからないような、そんな世界ですね。 ただ、努力だけではど…

爆笑問題の太田さんも絶賛した『タイタンの妖女』とかいう小説

昔、深夜に「爆笑問題のススメ」という番組がやっていました。 いろいろなジャンルの人をゲストに呼んで、ディープなトークを繰り広げるというものでしたが、その最終回は、ゲストは呼ばず、太田さんが自分の好きな本のベスト3を発表するという企画でした。…

語源になった小説を紹介する【多分明日使える!雑学】

タイトルの通りです。 ・復活 トルストイの長編小説。髪飾りのことをカチューシャといいますが、これは、日本でこの小説が舞台化されたとき、ヒロインの「カチューシャ」を演じていた女性が付けていた髪飾りが語源です。 この復活という小説ですが、トルスト…

書評家もラジオで大絶賛してた不朽の名作、コニー・ウィリス『航路』

朝、車で仕事へ向かう途中、なんとなく聴いているラジオで、大矢博子さんという方が、1週間に1回おすすめの本を紹介するという短いコーナーがありました。 普段は「へぇ、面白そうだなあ」と思っても、次の日には忘れているわけですが、ある日の放送で、や…