RPGでフラグが立たず次に進めないときのようなモドかしさ、と不気味さ カフカの『城』
分類としてはドイツ文学になる、カフカの長編小説です。
物語の主人公であるKが、とある雪の降る村を訪れます。彼はこの村に測量士として呼ばれたのですが、村人に聞くと、それなら城に行ってくれ、と言われます。でも、城に入るためには手続きがいる、しかし、今度はその手続きをどうすればいいのかがわからない。
ウロウロしながら、城の使いだというバルバトスという男に会ったり、直接の上司は村長だと聞いて、今度は村長の家を訪れたり、その途中でまだ仕事を受けてもいないのに、助手を名乗る2人組がついてきたり…
タイトルで書きましたが、RPGでハマったときのことを思い出します。次の目的地は○○ですよー、でもそこに行くためにはアイテムがいりますよー、アイテムはどこにあるんだ?アイテムは××が持っていますよー、××はどこにいるんだ?とこんな感じです。
と同時に城を役所だと考えると、いつの時代もお役所仕事ってのは本当にいい加減なもんだななんてことも思います。
すぐ近くに見えているのに決してたどり着けない城。そして物語は結局たどり着けないまま唐突に終わります。
はっ?という感じですが、カフカの小説はだいたいそういう終わり方です。もっともカフカ自身は自分の小説をゲラゲラ笑いながら友人に聞かせていたそうで、おいおいなんじゃこりゃwww無茶苦茶じゃねーかwwwなんて思うのが正解かもしれませんが、やっぱり、えっ…?ってなります。
カフカと言えば『変身』のほうが有名で、こっちのほうがストーリーがしっかりしている気がしますが、カフカっぽさは城のほうがある気がして、僕は城が1番好きだったりします。
文庫本で600ページ。けっこうな時間と体力使ってこれかよ!っていう感じですが、その感覚を味わうのがこの作家だと思うんですよね。
マゾかよ!
- 作者: フランツ・カフカ,Franz Kafka,前田敬作
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1971/05/04
- メディア: 文庫
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