あの名曲「雪の華」が映画化!そのノベライズ小説を読んでみた
自分はこの雪の華という曲が本当に大好きで、映画化という話を聞いて、見に行こうかどうか迷っていたんですが、公開前にノベライズが出ると聞いて、じゃあそっちを読んでみようと早速購入しました。
主人公は、癌で余命1年と宣告された21歳の女性、美雪。彼女の夢は1度でもいいから恋愛というものをしてみたいというもの。
そんな美雪が、偶然出会った男、悠輔と1か月だけ恋人関係になるという契約を結ぶ、という話で、その心情が女目線、男目線で交互に語られます。
この手法はいいですね。それほど斬新というわけではないですが、小説ならではです。
ストーリーもそれほど大きなどんでん返しがあるわけではないですが、ポイントは雪の華感があるかどうかでしょう。
この小説では、実はあまり雪という感じはしません。思い出の地、フィンランドに旅行をする場面が3度ありますが、目的はオーロラであり、雪は物語のテーマとは言えないような気がします。
例えば雪の華の1番のサビは
今年、最初の雪の華を
ふたり寄り添って
眺めているこの瞬間(とき)に
幸せがあふれだす
少なくとも小説を読む限りではこういうイメージは出てきません。
重要なのは内面を描いた部分ですね。
甘えとか弱さじゃない
心からそう思った
美雪と悠輔の恋人関係は「契約」によって成り立っているという点で、本物ではありません。
病気だった美雪と、お金に困っていた悠輔の、お互いの甘えによって成立している関係です。
では愛とは何なのか、というと、
雪の華では
誰かのためになにかを
したいと思えるのが
愛ということを知った
という歌詞が出てきます。
そして、ここがこの話のテーマなんじゃないかと、個人的には思っています。
美雪の、ただ恋愛をしてみたいという思いは自分のため。
悠輔の場合は、先輩のため、ともいえますが、少なくとも恋人のために行動しているわけではありません。
契約関係だった2人の関係はどう変わっていくのか、どこで、自分のためではなく、相手に何かをしたいと思えるようになるのか、読みどころの1つです。
小説で1番いいなと思ったセリフ
ほぼラストのシーンですけど、
もう死んでもいいくらい幸せだと思った人だけが、本気で死にたくないって思うんだね。
そうかもしれない。でも、これを主人公が言うと切ない。
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ちなみに物語の舞台の1つがフィンランドなので、フィンランドのへぇーという話もけっこうありました。
フィンランドではトナカイを何匹飼っているかは、日本で貯金がいくらあるか聞くのと同じで失礼になるそうです。
そういえば、前に『翻訳できない 世界のことば』という本を読んだとき、トナカイが休憩せず歩ける距離に名前があることを知ってびっくりしました。
終わりです。
読んでいただいてキートス!!