陽の当たる道を目指す

過去の体験談とか趣味の話をつらつら書いてきます。本の話がやや多めかも。暇つぶしくらいにはなれるように頑張ります



まさかの完結!新しすぎる戦争の漫画『ディエンビエンフー』

雑誌の廃刊などで、何度か打ち切りの危機に見舞われながらも、TRUE ENDで真のエンディングにまでたどり着いた漫画、ディエンビエンフー

 

その復活劇は物語の主人公の1人であるティムを彷彿とさせます。

 

 

 

ベトナム戦争の戦場を舞台に、アメリカ兵を圧倒する謎の少女、「姫」。

その姫に一目ぼれし、彼女を追い回す、アメリカの従軍カメラマンであるヒカル・ミナミ。

姫を狙うアメリカの司令官・ヤーボ大佐。

そのヤーボ大佐が組織した戦闘集団「ストレイ・ドッグス」に所属する少年、ティム。

こういった人物が、戦いや、愛憎劇を繰り広げます。

 

作者はディエンビエンフーTRUE END1巻の前書きで、こう言っています。

少し長いですが引用します。

「多くの場合、本当の戦争の話というものは信じてもらえっこない。

すんなりと信じられるような話を聞いたら、眉に唾をつけたほうがいい。

真実とはそういうものなのだ。

往々にしてバカみたいな話が真実であり、まともな話が嘘である。

何故なら本当に信じがたいほどの狂気を信じさせるにはまともな話というものが必要であるからだ。」

―『本当の戦争の話をしよう』

ティム・オブライエン著/村上春樹訳(文春文庫)

 

この言葉こそが、本書『ディエンビエンフー TRUE END』を描き始めた大きな動機です。

現実に戦場を体験してきた作家がそれでもなお「本当の戦争の話は信じてもらえない」と語るなら、戦争とは全く無関係な立場から「マンガらしい嘘」を描けば、それは真実になるかもしれない。

そう考えたのです。

 

この漫画が真実だとは思いませんが、舞台となるベトナム戦争については詳細に、説明がされており、ときおり登場するアメリカ人やベトナム人のモブキャラのセリフにはリアルな迫力と狂気があります。

 

 物語の序盤から、『2人はまだ お互いを 知らない』という言葉が何度も出てきますが、この2人は誰と誰のことなのか、何をもって知るのか、は、最終話で明らかになります。

TRUE ENDであり、しっかりとした完結です。

これなら納得です。

 

 

 

 冒頭でも書きましたが、この漫画は何度か出版元が変わっています。

第3部までありますが、今回のTRUE ENDは第1部の完結編という感じです。

なので、双葉社から出ているディエンビエンフー1~6巻、

及びディエンビエンフーTRUE END1~3巻を買うのがいいと思います。

 

さらに読んでみたくなった人は、小学館から(未完ではありますが)2部と3部が出ているので、そちらをぜひ読んでみてください!

 

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