人生、<光>に向かって走ってく、それが強さだろ!!「世界鬼」の感想
「世界鬼」という漫画を読みました。
第一印象はめっちゃぼくらのっぽいなという感じでしたが、徐々に独自の世界観が出てきましたね。
世界鬼という謎の化け物から、世界を守るために、鏡の中に幻想が見える「鏡の国のアリス症候群」という奇病を持つ人々が戦う話です。
敵にとどめを刺した者は生命エネルギーを著しく消費します。
ぼくらのでは戦った人物本人が死ぬという設定でしたが、この話では、敵と戦うことのできる「鏡の国のアリス症候群」を患う人物は限られているため、本人の代わりに、生命エネルギーの予備タンクとして、最も生活をともにしたもの、家族であったり親友になるわけですが、そういった人物が死亡することになります。
当然その事実を知った後は、彼らは戦いを拒むわけですが、主人公の女の子、東雲あずまは違います。彼女は幼いころに母親と生き別れ、現在は叔父さん夫婦の家に住んでいます。で、この叔父がとんでもないロリコンで、あずまに対してっ性的虐待をしているわけですね。さらに、その奥さんと、子ども2人もあずまを嫌い、日常的に暴力をふるっています。それで、この家族を憎んでいて、死んでほしいとさえ思っているわけです。というわけで、彼女だけはこの事実を知った後、むしろ率先して敵を倒しに行くわけです。
まあこう書けば、終盤であずまが迫られる葛藤というか、決断も想像がつくと思うんですが、そういう話です。
かなり残酷というか、かなり狂ってます。ところどころ狂気を描きたいのか、笑わせにかかっているのかわからないくらいです。
この漫画のいいところは、この手の話にしては珍しく、敵の正体とか、なんのために戦うのかとか、主人公らを戦わせる謎の生命体の正体とか、キッチリ納得のできる説明がされている点ですね。
あと、こういう話のラストはどうしても賛否両論極端になりがちですが、僕は賛ですねー。なんか、何気ない日常が1番大切だったんだ!とか、命は大事!とかそういうラストとは一線を画するというか、なるほどなぁ、逆にリアルかもなあと思ってしまいました。
タイトルのセリフは鏡の国のアリス症候群のなかで最年長の大倉という人のセリフです。自身も暗い過去を持ちながらも、主人公たちに光を示す、いいシーンです。
裏少年サンデーは攻めてますね。