陽の当たる道を目指す

過去の体験談とか趣味の話をつらつら書いてきます。本の話がやや多めかも。暇つぶしくらいにはなれるように頑張ります



日本3大奇書と呼ばれる小説を全部読み切ったので、せっかくなので感想

ドグラ・マグラ

 

 読んだ者は精神に異常をきたす、といわれる小説。

3つの中で1番奇書っぽいです。

内容としては、主人公が精神病院で目を覚ますところから始まります。彼はある殺人事件の重要参考人ということなのですが、記憶を失っており、自分が誰なのかすらわかりません。そんな主人公の目線で話がすすんでいくため、彼の見たものとか、考えたことが正しいのかわかりません。主人公の正体は何なのか、誰の言っていることが正しいのか、一応最後に主人公の解釈は書かれますが、それが正しいのか間違っているのかもわからない。で、気になって、そもそもドグラ・マグラってどういう意味だっけ?なんて考えながら、もう1度読み直しちゃう、そんな話です。

さらに、この小説の奇妙なところは、小説の中で論文を読む場面にかなりのページ数がさかれているところです。ここは読者からしてもかなりキツい部分だと思います。まあ、流し読みでもいいと思いますけどね。

 

 

虚無への供物

 

新装版 虚無への供物 上・下巻セット
 

 今読むと、やや古臭い感じはしますが、わりと本格派のミステリーというか、推理小説で、個人的には3作の中で、奇書感は1番低いと思います。

ただやはり、特殊なのが、普通この手の小説だと、殺人事件が起きて、次の被害者は誰だとビクビクしながら犯人捜しをしていくわけですが、この話では、その外側からというか、あの館で殺人事件があったらいいよー、しかも密室殺人なんだってー、それは大変だ、よし推理合戦をしよう、というようなノリで、カフェで各々の推理を披露するという構造になっています。ただこれ自体も最後の1ページの伏線になっているわけですが。

謎解きはけっこう難しくて、いまいちイメージがわきませんでした。また、いろいろ伏線があったわりに、結局どうなっちゃったの?ってとこもありましたが、ある意味謎解きが終わってからが本番で、最後の読者を呻らす一言ゆえに、奇書と呼ばれているのかなあと思いました。

 

 

黒死館殺人事件

 

【「新青年」版】黒死館殺人事件

【「新青年」版】黒死館殺人事件

 

 とにかく読みづらいです。

この作品は衒学的という言葉で表現されることが多いですが、最初から最後まで、本当なのか創作なのかわからない学説やら用語のオンパレードです。シュレーダーの『生体磁気説』では~、とか、メールヒェンの『朦朧状態』を読むと~、とか、どこのページをめくってもそんな感じです。

読んでる最中も正直何が起きているのか、結局犯人は誰だったのかすらもうあやふやなレベルですが、読み終わった後の達成感はかなりのものです。

 

ただこの作者は陰鬱とした雰囲気を醸し出すのはうまいですね。

個人的には短くて、割と読みやすい『白蟻』という小説がおすすめです。

山奥でひっそりと住む異常者だらけの一族に嫁いでいった女の目線で語られる話。一応殺人トリックなんかもありますが、それよりも絶望的な雰囲気に引き込まれます。

 

 今回はこのへんで。