陽の当たる道を目指す

過去の体験談とか趣味の話をつらつら書いてきます。本の話がやや多めかも。暇つぶしくらいにはなれるように頑張ります



3大カッコいいタイトルのSF小説!!『たったひとつの冴えたやり方』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『月は無慈悲な夜の女王』を読んでみた

この、3大カッコいいタイトルのSF小説というのは、

化物語というアニメの登場人物が言っていたものです。

曰く

『たったひとつの冴えたやり方』

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

月は無慈悲な夜の女王

だそうです。

3大奇書とは違って、別に公式のものではないですが、確かにカッコいいですね。

普段SFはそんなに読まないのですが、気になったので読んでみました。

 

www.jedentagzatudan.com

 

 

 『たったひとつの冴えたやり方』

確かにいかにも読んでみたくなる、絶妙なタイトルです。

この本は、表題の『たったひとつの冴えたやり方』『グッドナイト、スイートハーツ』『衝突』の3つの話で構成されています。

1つ1つは、全く別の話ですが、世界観は共通で、1話目の後日談的なものが次の話でちらっと出てきたりします。

まあ、この手の小説の醍醐味ですよね。

 

で、『たったひとつの冴えたやり方』ですが、主人公は初めて1人で宇宙旅行に行った、16歳の少女・コーティーです。

彼女の頭の中に、未知のエイリアンが住み着き、最初は戸惑いますが、徐々に友情が芽生えていきます。

このエイリアン自体は悪者でも何でもないんですが、人類にとって脅威になるような、ある事実が発覚して‥という感じのストーリーです。

果たして主人公とエイリアンが選択する<やり方>とは‥?

 

SFですが、小難しい設定はなく、短いのですごく読みやすいです。

そして何より面白い!!

 

 

 

 

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

こういうタイトルには、意味はないけど、ただカッコイイ言葉を並べただけのものと、

きちんとした意味があるものがあると思うのですが、

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?これは後者だと思います。

 

舞台は第三次大戦後の荒廃した地球。

主人公は、「賞金稼ぎ」として、火星から逃亡してきた8人のアンドロイド狩りを始めます。

彼がアンドロイドを狙うのは、その賞金で、安価な機械の動物(電気羊とか電気馬)ではなく、この世界では稀少になった高価な本物の羊」を手に入れるため。

この世界では本物の動物を飼うことが高いステータスになっていたのです。。

大した正義もない、なかなか自己中な動機。

自分は終始、アンドロイド側を応援しながら読んでいました。

 

また、特殊な検査をしないと人間なのかアンドロイドなのか区別がつかないという設定での、人間とアンドロイドのいろいろな問題、

人権はどうだ、とか、人間とアンドロイドに恋愛感情が芽生えるかのような場面もありましたが、テーマとしては重い部分もあるなあと感じました。

 

まあ、そのへんは置いといても、主人公と、何とか生き延びようとする個性的なアンドロイド8人との攻防はテンポがよくて面白いです。

 

個人的には3つの本の中で、1番オススメです。

 

 

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

 

 

 

月は無慈悲な夜の女王

月が地球の植民地であり、月の市民が地球政府に対して独立を企てる、というストーリーです。

主人公は月世界のあらゆるものを管理する人工知能を搭載したコンピューター、「マイク」の修理を担当していた技術者のマニーという人物です。

彼は巻き込まれる形で革命軍のトップ的な地位につきます。

 

物語は3部構成で、第1部が月世界がマイクとマニーを中心に、革命組織を結成し、地球に宣戦布告する場面。

第2部が主人公たちが地球に乗り込み、地球政府と交渉する場面。

そして第3部で月と地球の全面戦争へと発展していきます。

 

文庫本で約700ページ。長いですが、内容は濃く、

例えばスパイがいるかもしれないなか、どのように地球政府の警察にバレないように、組織活動をするか、

資源も武力もない月がどのように地球相手に有利な外交交渉するか、

独立後の政治体制だったり、選挙のシステムはどうするかなどがかなり詳細に書かれており、読み応え十分です。

 

また、メインの登場人物は4人(3人と1台)ですが、

主人公をはじめ、コンピューターなのにジョーク好きで饒舌なマイク

マイクなしでも十分いけるんじゃないか?ってくらい超絶有能な実質的リーダーのデ・ラ・パス教授

さらに、紅一点で、月世界の理想を追い求める情熱家のワイオミングと、

いずれも個性的で彼らのやりとりはそれぞれの人間性とか、思想の違いも垣間見えて面白いです。

 

ラストも変に鬱エンドにしなかったのはGOODだと思います。

 

 

 

 

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)

 

 

 

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