我々が学んでいる歴史の正体とは?『歴史とは何か』
以前、『自分のなかに歴史を読む』という本の感想をブログに書きました。
この本を読むきっかけとなったのは、『読書HACKS!』という本のなかで、著者の原尻淳一さんが、「自身の運命を変えた本」として紹介していて、それに興味を持ったからなのですが、そこで、著者は必ず2冊セットで読むように、と挙げていたのが『自分のなかに歴史を読む』と、この『歴史とは何か』でした。
というわけで、言われた通りもう片方も読んでみました。
『自分のなかに歴史を読む』と比べると、字が細かく、内容も難しかったです。特に後半に進むにつれ、難易度が上がっていった気がします。
なので、自分が理解できた範囲で、印象に残っている場面を挙げます
- 作者: E.H.カー,E.H. Carr,清水幾太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1962/03/20
- メディア: 新書
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まずタイトルの歴史とは何か?という問いについて、クローチェという学者の言葉を引用し、すべての歴史は「現代史」である、と述べます。
そして、
歴史というのは現在の眼を通して現在の問題に照らして過去を見るところに成り立つものであり、歴史家の主たる仕事は記録することでなく、評価することである、歴史家が評価しないとしたら、どうして彼は何が記録に値いするかを知り得るのか、ということです。
と続きます。
さらに、
歴史とは歴史家の経験である。これは歴史家だけが『作った』もので、歴史を書くのは、歴史を作る唯一の方法である。
と、オークショットという学者の言葉を引用します。
我々は(少なくとも自分は)歴史というものは、史料や文献による客観的な事実であると考えがちですが、歴史家が作ったものであり、主観的なものであると。
ルイ16世の死が教科書に載り、農民の死が載らないのは、歴史家がそう判断したからであると。
社会学でも、研究者の主観が入ることは承知しなければならないと言った人がいたと思いますが、歴史でも同じことが言えるわけですね。
これ、研究する人間にとっても、それを学ぶ人間にとっても、心得ておかないといけない、重要なことですね。
カーはこの問いについてこう締めくくります。
歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります。
ここまでで第1章というボリュームです。
2章以降も興味深い話題が続きますが、難易度は上がっていきます。
なので、まあ今回はこのへんで(笑)
やはり2冊併せて読む価値アリです!