読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました『イノセント・デイズ』
私は見届けなければいけないのだ。
彼女が死ぬために生きようとする姿を、
この目に焼きつけなければならなかった。
↑こんな文章、この話以外で見ることはないだろうな‥
3日寝込むは大袈裟でしょうが、かなりの衝撃はありました。
物語は放火殺人により死刑を宣告された、田中幸乃という女性の、まさに死刑が執行される日から始まります。
彼女の生い立ちについては、マスコミなどでもさんざん取り上げられたという設定で、
幼少期に養父から激しい暴力を受けたこと、
中学時代には強盗致傷事件を起こしたことなどが語られています。
そして、物語はそれぞれの時期の彼女を知る人物の追想というかたちで進んでいきます。
そこで語られる田中幸乃という女性は、マスコミや裁判で語られたものと異なっていたりして、彼女や被害者に対して持っていたイメージが徐々に変わっていきます。
そして、本当の事件の真相とは―
こういう、あらかじめ年表みたいなのが提示されていて、それを補完していくかたちで話が進んでいく手法というのは、
ゲームだと「サガフロンティア2」
漫画だと「ファイブスター物語」なんかがありますね。
わりと好きです。
さて、あとがきを書いた人は、
「この話は救いがない、とよく言われるが、それは間違いだ」
というようなことを言っていました。
うーん、でもやっぱりこの話に救いがある、とは思えないし、
これで主人公が救われた、とは思いたくないんですよねー。
「でね、その“イノセント”には“無実の”っていう意味もあるんだって。
不思議だよね。どうして“純粋”と“無実”が同じ単語で表されるんだろうね」
↑読み終わったあとに、このセリフについて考えると、切ない。